• 2012年5月11日:ニューヨーク ブルックリン「THE BELL HOUSE」公演レポート

    May 11th, Brooklyn, New York
    2012年5月11日:ニューヨーク ブルックリン「THE BELL HOUSE」公演

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    2012年5月11日(金)、ノラ・ジョーンズのスペシャル・ライブが、ニューヨークのブルックリンにあるライブハウスTHE BELL HOUSEで行われました。
    THE BELL HOUSEは、もともと倉庫だった場所を改築したもの。音楽やアートの発信地と化した、ブルクッリンの良さがにじみでているお洒落で、こじんまりとしたライブハウスです。ノラが仲間達と結成したバンド、リトル・ウィリーズも去年10月にここでライブをしたということもあり、ノラのお気に入りの場所なのだろうと想像できます。もちろんチケットはソールドアウト。入り口には若者がごった返し、パーティが開かれているかのような熱気に包まれ、会場内は、500人ほどのキャパシティを超えるかと思うほどの多くの観客ですし詰め状態でした。

    午後9時半。辺り一面が暗くなったかと思うと、ノラがバンドと共にステージに登場。
    黒いワンピースにピンクのベルト、そしてグレーがかった半袖のカーディガンに身を包んだノラは、地元であるブルックリンの友達が多く集結していたためか、いつも以上にカジュアルな格好でリラックスした様子。短い前髪にボブのカーリーヘアがとても似合っていて、キュートかつ大人っぽい雰囲気を醸し出していました。観客が一斉に大きな拍手で迎えると、会場を見渡しにこっと微笑み、早速キーボードで演奏を始めました。1曲目は最新アルバム『リトル・ブロークン・ハーツ』から「グッド・モーニング」。まさにライブの幕開けにふさわしい美しい曲で、ノラの優しくささやくような声が会場中に響き渡ります。2曲目の「セイ・グッバイ」は、ノラの新境地といったサウンドで、恋人に別れを告げる女性の心理を描いた曲。自立を決心した女性を代弁しているかのように、力強く、そしてナチュラルな歌声に、一同惚れ惚れし、静かに聞き入っていました。

    ノラが赤いフェンダー・ムスタングに持ち替えて、続いて披露したのが「リトル・ブロークン・ハーツ」。アルバムのタイトルにもなっているこの曲には、歌詞の節々に「ナイフ」「武器」「リベンジ」などといった言葉が重ねられ、少しダークな雰囲気に。いつになくかっこ良く演奏をするノラに、クールという代名詞が加わり、ノラの魅力が一段と増したよう。「彼女は22歳」も恋愛色が強い曲。「彼女はあなたのことを幸せにしているの?」と問いかける部分では、感傷的な気持ちになります。そして、「テイク・イット・バック」で、キーボードへと移ったノラは、「Now I see」と伸びやかに歌い上げます。ノラの世界に引き込まれていた会場に、しばらく沈黙が訪れた後、大きな歓声が響き渡りました。続いては、2009年に発表したアルバム『ザ・フォール』から「イッツ・ゴナ・ビー」。クールなビバップ・ジャズといった感じで、観客の中には曲に合わせて手拍子している人も。「アフター・ザ・フォール」を演奏し終わると、ノラが「きょうは新しいアルバムからたくさん演奏するわ!」と一言。「次は、今回のアルバムをプロデュースしたデンジャー・マウスの曲よ。」と言うと、会場は一気に盛り上がりました。
    ノラが、私がいた辺りをちらちら見ていたので気になっていると、すぐ後ろに、なんとデンジャー・マウスの姿が。本人が見守る中、ノラはデンジャー・マウスの最新アルバム『ローマ』から「ブラック」を披露。ノラとデンジャー・マウスと同じ空間にいるとは、かなり貴重な体験に興奮してしまいました。「トラヴェリング・オン」では、ピアノへと移動。やはりピアノの前に座っているノラは安定感があり、この姿を拝めるなんて本当に来てよかったな、としみじみ。アコースティック・ギターの音色とノラの声がマッチし、少し寂しげな旋律が印象的。
    続いては、ノラの名前をこの世に知らしめた1stアルバム『Come Away With me (邦題ノラ・ジョーンズ)』から、「コールド・コールド・ハート」。これには観客が大喜びで、ノラは、"You guys are easy!" 「あなた達、簡単に楽しんでくれるから良いわね」と笑いながら答えていました。「アウト・オン・ザ・ロード」では、雰囲気が一気に変わり、明るいアップテンポに合わせダンスする若者も。ノラが「皆ハッピーかしら?」ときくと、「Yeah!」「I love Norah!」とたくさんのかけ声が飛びました。

    そしてお待ちかね!プロモーション・ビデオで見せたノラの演技力と、スリリングな内容が話題となっている「ハッピー・ピルズ〜幸せの特効薬」。「GET OUT(出ていけ)」の部分では、こぶしをあげて一緒に歌う女性客もあり、女性の応援歌にもなっているのだなと感じました。そして「ミリアム」では、1節歌い終わった後に「もう一度やり直していい?」ときく場面も。ノラは「この曲では、いつも歌詞を間違えちゃうのよね」とカジュアルに語り、それに笑って応じる観客。ノラと観客の距離が一気に縮まった瞬間でした。ホラーな雰囲気に包まれたこの曲をエモーショナルに、しっとりと歌い上げた後は「オール・ア・ドリーム」。すべては夢だったというタイトル通り、現実との境を浮遊しているような感覚に襲われます。そして、舞台からバンドメンバーがいなくなると、一人ピアノへと向かったノラ。ピアノに手をおいたノラがイントロを弾き始めると、観客は大興奮!名曲「ドント・ノー・ホワイ」のソロ・ヴァージョンが披露されました。「ウォー」という雄叫びのような大歓声に、ノラはいったん手を止め、「ちょっとびっくりしちゃったわ」と苦笑い。テンポをスローダウンした特別なヴァージョンを演奏し始めました。観客一同、初めて聴くヴァージョンに心を打たれ、目に涙を浮かべ、感慨深くノラを見守る人々の姿もありました。また、3rdアルバム『ノット・トゥ・レイト』から、ノラの大のお気に入りだという「シンキン・スーン」。今までとは違ったバンドでの演奏、ロックの要素が加わったアレンジが面白く、このバンド全員が、一流のエンターテイナーなんだと実感しました。続いては『ザ・フォール』から「スタック」を演奏。「今日は来てくれてありがとう。最後の歌よ」と話し、披露したのは、1stアルバムの楽曲「ローンスター」。ライブの終わりとなるには最高の曲であると共に、名残惜しい気分に。

    「ありがとう!」と挨拶をし、ステージを後にしたノラとバンドメンバー。アンコールの大合唱を受けると、バンド・メンバーがアコーディオン、ウッドベースを、そしてノラはアコースティックギターを抱えて登場。大きな歓声で迎えられました。マイクがステージの中央に一本だけおかれている状態で、一体何が始まるのかと思った瞬間、演奏されたのはなんと「サンライズ」!まさに奇跡的な生歌のライブで、なるほど!こうきたか!と唸らざるを得ない特別なサプライズに大感激。歌詞中の"Hooo"の部分では、会場中の人が体を揺らしながら大合唱。
    最後にノラが「もう1曲やりましょう」と披露したのが、ハンク・ウィリアムスの「How many times have you broken my heart」 。あまり光に照らされていないステージを見ていると、ノラの家に招待されたかのような親近感がわいていました。演奏を終えると「ありがとう!!」と言い、深くお辞儀をしたノラ。「またブルックリンに帰って来てね」と大きな声援で見送られ、ステージを後にしました。ニューヨーク在住だという男性は、「小さな会場でノラを見れたのは嬉しかった。特に最後のアコースティック・ライブは最高だったね!友達に自慢するよ。」と嬉しそうに話していました。

    文:木嵜綾奈/Ayana Kizaki

    <セットリスト> * ニュー・アルバム『リトル・ブロークン・ハーツ』より
    1. グッド・モーニング/Good morning *
    2. セイ・グッバイ/Say Goodbye *
    3. リトル・ブロークン・ハーツ/Little Broken Hearts *
    4. 彼女は22歳/She’s 22 *
    5. テイク・イット・バック/Take It Back *
    6. イッツ・ゴナ・ビー/It’s gonna be
    7. アフター・ザ・フォール/After the Fall *
    8. ブラック/Black
    9. トラヴェリング・オン/Travelin’ On *
    10. コールド・コールド・ハート/Cold Cold Heart
    11. アウト・オン・ザ・ロード/Out On The Road *
    12. ハッピー・ピルズ〜幸せの特効薬/Happy Pills *
    13. ミリアム/Miriam *
    14. オール・ア・ドリーム/All A Dream *
    15. ドント・ノー・ホワイ/Don’t Know Why
    16. シンキン・スーン/Sinkin Soon
    17. スタック/Stuck
    18. ローンスター/Lonestar

    アンコール
    1. サンライズ/Sunrise
    2. How many times have you broken my heart

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